インドネシアが2050年までに「グリーン電力100%」を実現するのに、太陽光が役立つ理由

2019年12月26日 – by David Firnando Silalahi

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インドネシアは、一年中太陽が照り輝く熱帯気候の国である。インドネシアが再生可能エネルギーで100%電力を賄うことができるかについて研究を行なったところ、太陽光で年間64万テラワット時(TWh)もの電力を発電できる潜在性があることが示された。それは同国の昨年の総発電電力量の2300倍にも相当する。

これほどの潜在能力を秘めているものの、再生可能エネルギーセクターへの投資は依然として低迷している。同国の昨年の総発電電力量のうち太陽光による電力が占める割合は、わずか 1.7% だった。

東南アジア最大の経済を誇るインドネシアは 69.1ギガワット(GW)の発電設備容量を有し、昨年には、その様々な発電所で合計275TWhの電力が生産された。そのうち90%近くは、石炭、天然ガス、ディーゼルによる発電だ。残りの約10%を、再生可能エネルギー(水力、風力、地熱、太陽光、バイオマス)を用いた発電所が供給している。

この非再生可能エネルギーによる独占的な電力供給は、2050年まで継続すると見られている。インドネシアには太陽エネルギーがふんだんにあるが、今現在、同国唯一の電力生産会社である国有電力会社PLNは、数々の発電所との契約に縛られ、すぐさま太陽エネルギーを活用できずにいる。これらの契約は、少なくともあと 20年は続くことになる。

インドネシア政府は、2050年までのエネルギーミックス(電源構成)において、太陽エネルギーが占める割合は10%未満と推定している。

私は、それに異論を唱える。ふんだんにある太陽光と独特の地形をもってすれば、インドネシアは2050年までに、太陽エネルギーによる「グリーン電力100%」を実現できるはずである。そのために政府に求められるのは、消費者と電力生産者の両方にとって魅力的な政策の実施だ。

以下に、インドネシアが太陽エネルギーで100%電力を賄える可能性を秘めている理由を挙げる。

1. 太陽光は十分すぎるほどにある。

インドネシアの国民一人あたりの電力消費量は、2019年には1メガワット時(MWh)と、シンガポールの消費量のわずか11%だった。

インドネシアの国家エネルギー計画によれば、2038年には、同国の電力需要は1000TWhに達し、国民一人あたりの電力消費量は3.3MWhになるという。

この傾向が続くと仮定すると、2050年までに電力需要は2600TWh、国民一人あたりの電力消費量は7.7MWhになると推定される。

インドネシアの太陽光発電の潜在能力

その2050年の推定電力需要を満たすうえで、インドネシアに必要となるのは全部で設備容量1500ギガワット(GW)の太陽光発電所である。太陽光発電(PV)システムは、太陽電池モジュールを用いて、太陽光を電気に変換するものだ。今年、230MWにおよぶ太陽光発電システムが導入される予定である。

私が行なった研究によれば、インドネシアには膨大な太陽エネルギーがあることから、2600TWhの電力供給は問題にはならない。

2. 太陽光発電システムを設置するための広大な土地がある。

インドネシアが2050年の目標値を達成できるだけの太陽光発電システムを設置するには、最低でも8千平方キロメートルの土地が必要になる。それは国土面積のおよそ0.4%に相当する。

インドネシア・北スラワシ県のリクパンにある設備容量21MW のソーラーファーム。(写真:エネルギー鉱物資源省)

土地の確保で問題が生じた場合は、インドネシア政府は水上にソーラーパネルを設置することもできる。これらのパネルの大部分は、湖や波の穏やかな近海に浮かべたフロートの上に設置すればいい。

インドネシアは世界最大の群島国家であり、その水域面積は広大だ。湖の面積はおよそ11万9千平方キロメートルで、領海面積はおよそ29万平方キロメートルにもなる。

さらに、ほとんどの建物は屋根や屋上にソーラーパネルを設置できる。これらの計画を伴えば、ソーラーパネルの設置に必要となる土地の面積は、インドネシアの国土のたった0.1%ということになる。

インドネシアの首都ジャカルタ所在のエネルギー鉱物資源省のビルの屋上には、ソーラーパネルが設置されている。(写真:エネルギー鉱物資源省)

3. ソーラファームの設置コストは低下している。

大規模太陽光発電システムの初期投資コストの世界の加重平均は急速に低下しており、2010年から2018年にかけて77%減少した

オーストラリアでは、大規模太陽光発電プロジェクトのコストは大幅に低下している。2015年にはメガワット時あたり85米ドルだったのが、2020年にはメガワット時あたり28〜39米ドルになる見込みだ

これらの金額は、インドネシアの国有電力会社PLNのメガワット時あたり約79米ドルという発電コストをかなり下回る。

2050年の目標値を達成するには、インドネシア政府は2021年から毎年、太陽エネルギーを用いて50GW発電し、それを送電網に接続する必要がある。

太陽光発電プロジェクトは、化石燃料の発電所を建設するよりもはるかに早く完成に漕ぎ着けられることを考慮すれば、これを達成できる可能性は高い。

石炭火力発電所の建設には少なくとも3年を要するのに対し、ソーラーファームが完成するのに必要な期間は最長2年だ。

夜間に電力を供給するには、太陽光発電システムは蓄電池が必要になる。蓄電池の価格も低下し、2019年にはキロワット時あたり156ドルと2010年から87%減となった。

蓄電池の補完として、揚水発電所を設けることで晴れた日の電力を貯蔵し、曇天によって発電が妨げられた時に素早く配電することができる。

インドネシアには揚水発電所が2万6千カ所も存在し、合計すると電力貯蔵容量は820TWhにおよぶ。この数値は、同国において、ソーラーパネルを用いた100%再生可能エネルギー電力システムを支えるために必要となる貯蔵容量の100倍以上にもなる。


※本記事は、David Firnando Silalahiの執筆によるもので、The Conversationにて最初に公開されました。

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