2008年の韓国の緑の景気刺激策

2020年7月8日 – by Energy Tracker Asia

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2008 年の金融危機は、韓国の経済を激震させた。2008年の第4四半期のGDP(国内総生産)成長率はマイナス4.5%(前期比)に低下し、世界で2番目に大きい記録的な落ち込みを見せた。同国は、GDPの20%に相当する426億米ドルの債務超過を抱えることになった。2008年から2009年にかけて雇用成長率は1%を下回り、2009年3月には失業率は4%というピークに達した。

韓国の緑の景気刺激策パッケージ

その対応策として政府は、雇用創出を促し、経済の活性化を後押しすべく、国際的に「グリーン・ニューディール」と謳われた緑の景気刺激策を実施した。2009年から2012年に実施されたこの刺激策の規模は、GDPのおよそ4%に相当する総額381億米ドルに及んだ。韓国は、そのうち80%近くを再生可能エネルギー(18億米ドル)や 建物の省エネ化(61.9億米ドル)、低炭素型自動車(18億米ドル)、鉄道(70.1億米ドル)、上下水道マネジメント(138.9億米ドル)などのグリーン化に向けた施策に充てた。

これらの施策が早急に実施されたことにより、韓国の経済と金融市場は2009年前半に安定し始めた。2008年12月から2010年1月にかけて、韓国株式市場の総合株価指数(KOSPI)は約42.5%上昇した。2008年から2010年の間に実施された政府の景気刺激策パッケージには、公的支出や減税が含まれ、その規模は同国のGDPの6.9%に相当した。

グリーン成長五カ年計画

2009年7月に政府は、2009年から2013年にかけて同国のGDPの2%をグリーン成長への投資に充てるというグリーン成長五カ年計画を発表した。同計画は、95万人の雇用創出を目的に、2012年までに50兆ウォン(440億米ドル)を9件の主要プロジェクトと27件の関連プロジェクトに重点的に投資するというものだった。さらに政府は、企業による温室効果ガス排出量の削減、再生可能エネルギーの市場シェアの拡大、排出量取引制度の導入などに向けた施策を実施した。

韓国におけるグリーン・ニューディールの成果

その主張に反して、韓国のグリーン・ニューディールは多くの批判を招いた。韓国のグリーン雇用政策のプロセスと内容に関する研究は、グリーン・ニューディールの予算50兆ウォンのうち、議論を呼んでいる4大河川再生事業と原子力発電所の拡張に最高額(15兆ウォン)が割り当てられたことを明らかにした。また、同研究によって、韓国の「グリーン雇用」の分類では、風力、太陽光(PV)、太陽熱、原子力、石炭火力発電の区別がつかないことが示された。さらに、従来の環境保護や公害削減におけるグリーン雇用への支援は、限られたものにすぎなかった。そうした背景を踏まえ、同研究は、2008年に「グリーン産業」で61万1千人の雇用があったとする政府の主張は、過大見積もりの可能性が高いと指摘している。

2015年の別の研究は、グリーン・ニューディールはグリーン成長とCO2排出量削減の実現には至らなかったことを明らかにした。韓国の全雇用者数に占める割合で言うと、グリーン産業の雇用者数は 2008年の1.2%から2015年には2.2%とわずかな増加にとどまった。よりクリーンなエネルギーミックス(電源構成)に向けた取り組みが実施されたものの、再生可能エネルギーによる発電のシェアは2006年から2016年にかけて2.2%しか増加しておらず、同国の2030年目標である11%を大きく下回った。

また、同期間において石炭依存はそれほど緩和されなかった。 2017年のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーのシェアはわずか4%だったのに対し、石炭は41%を占めていた。その結果、韓国のCO2排出量は2005年から2018年にかけて35%増加し、2018年には世界のCO2排出量の1.8%を占めた。

韓国のグリーン・ニューディールの分析は、同国の景気刺激策パッケージは国外で誤って解釈されたことを示唆している。それは同国が目覚ましい経済成長を遂げたことに目をくらまされたもので、地元の専門家は、政府のグリーン成長に関する政策は、環境を犠牲にしながらも「経済成長」を重視していたと指摘している。グリーンというよりは、「高炭素、グレー成長」と見なされている。


本ブログはコロナ経済危機への対応策としての「緑の景気刺激策」シリーズの一部であり、本記事以外にも2008年〜2009年に米国中国欧州で実施された景気刺激策パッケージを事例として紹介し、様々な角度からその有効性を探っていく。

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